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とまあ、いまは亡き柳昇師匠のパクリから入ってみたとこで、誰が知ってるんでしょうかねえ。
さて、タイトルからも分かりますように、こいつがすべての始まりです。さらに言えば、知ってることとは思いますが、OL大陸で鳥として生活してれば、何かにつけて鍋にしてやると言われまして、この話もそんな日常から出来上がったものでございます。
この場を借りて、はっきり言いたい!鍋にしてやるとはなんだ。鍋の具材にしてやるの間違いだろー・・・
てなわけでして、ええ、できてから今日まで、幾ばくかの時間が過ぎており、季節に若干のズレもありますが、一席、よろしくお付き合いのほどを。
立春も過ぎ、暦の上では春になったとはいえ、まだまだ寒い日が多くございます。寒い日には、熱いものを食べ、酒の一杯でもひっかけて温まりたくなるのが人情というもの。
さらに、温泉にでも浸かって体の心からぽっかぽかと温まれれば言うことはないのですが、そうすぐ近くに温泉がある人なんて、ほとんどいやしませんので、まあ、せいぜい風呂に浸かるぐらいになります。しかし、今でこそ家には必ずといって良いほどお風呂が付いているものですが、昔は、銭湯が当たり前だったものです。
「おう、ナベさんじゃねえか、どこに行くんでえ」
「ああ、花の字かい、いやね、寒いから銭湯に行って温まってこようかと」
「よせよせ、銭湯じゃあ、帰ってくるまでに、また冷えちまわぁ。それより熱いもの食って、酒でもやらねか」
「そりゃあいいが、なんか当てでもあるのかい?」
「あたぼうよ。外れに住んでる野次っていう鳥野郎を知ってっかい?」
「ああ、あの人語を話す変な鳥だろ」
「そう、そいつを鍋にして、一杯やろうっていう寸法よ」
「おいおい、アレを食べんのかい」
「いやか?」
「いや、まあ、鍋にすりゃあしゃべらねえだろうから、かまわねえけど、けっこうな大きさだぞ、煮る鍋があんのかい」
「おうよ、おまえがこう丸くなってだな、ナベが鍋をやるっていう、、、そんな顔すんな。冗談だよ。こないだトウキ市で見つけた」
「ん、最近、陶器市なんてしてたっけ?」
「寺のはずれの野っぱらのとこよ」
「あそこはゴミ捨て場じゃなかったっけ」
「だから、投棄市って言ったじゃねえか。いいからヤツを連れてきな。用意してるから」
・・・
えー、そんなわけで、町の外れにあるちっぽけなあばら家、まさに鳥小屋へと向かいます。
「おーい、野次さんよー、いるかーい?」
「・・・」
「おーい」
「いま手が離せねえから、勝手に入ってくれ」
「へっ、じゃあ、失礼して・・・、なんだい手が離せねえていうが、離せねえのは目じゃねえか、そもそも手なんかありゃしねえ。で、何のテレビ見てんだい?」
「オリンピック」
「へえ、バンクーバーか」
「いや、トリノ」
「トリノって4年も前のを今頃見てんのかい?」
「いや、だから鳥のオリンピック」
「おいおい、で、何の競技だい、さっきから空ばかり映ってるようだけど」
「いま、ノーマルヒルジャンプ」
「ジャンプって飛んでるだけじゃねえか、いつ終わるんだよ、おい」
「大丈夫、日が暮れれば鳥目だから、見えなくなって終わる」
「ほんとかよ」
「他にどんな競技をしてんだい?」
「ああ、カーリングもしてる」
「選手がカラスだとか言うんじゃねえだろうな」
「正解!」
「何が正解だよ。ああ、そうそう、用事があって来たんだった。寒いんで、いま風呂沸かしてんだけど、お前さんも浸かりにこねえかい?」
「ん?いいよ、羽が濡れると乾かねえから」
「大丈夫、こっちでむしるから」
「ん?何か言った?」
「いや、なんなら先に入って、薪くべてくれれば、火で乾いていいんじゃねえかって話さ」
「それで、いいなら、せっかくだ。入らせてもらおうか」
そんなこんなで、鳥を連れて戻ってみますと、大きな土鍋に水を張って下から薪でもって、火が焚いてありまして、
「おう、来た来た。鴨じゃねえが、いっそネギでもしょってくればいいのになあ」
「こんにちは。いま、なんかネギがどうとか聞こえましたけど」
「へへっ、いや、なに、風呂代を値切れねえから、こうして沸かすしかねえって愚痴ってたとこよ」
「おう、ナベ、遅かったじゃねえか」
「いや、ちょっと野郎がオリンピック見てたんで」
「へえ、バンクーバーか」
「いや、トリノ、、、ってそれはいいんだよ」
「お二人さん、これで沸かしてんですか?湯船ってより土鍋だなぁ」
「なんてたって投棄市で・・・。何?もうそれはいいって。ああ、ということで、まあ火焚いて沸かしすから先に入いんなよ」
「そりゃあ、うれしいが、なんもせずに先に入るのも悪いねえ」
「気にするな。そのまま煮られるのが・・・いてっ!蹴んなよ」
「ん、そのままが何だって?」
「いやいや、野次さん、こっちの話だ。先に入いってもらう方が助かるってことよ」
「そんならいいが、、、おっ、ちょっとまだぬるいなぁ」
「いま沸かしてるから、時期温まってくるよ」
「そーかね、じゃあ、入らせてもらおうか」
「ああ、待て待て、風呂に入るんだ、着てるもの脱ぎな、野次さん」
「着てるものって、これは自前の羽毛だ脱ぎようがねえ」
「いや、そいつがあると食べにく、、、痛っ、つねるなって」
「取れねえのかい、仕方ない。じゃあそのままでいい」
「むしるのは茹ってから、、、痛っ、だから、つねるなって」
「なんか、よくわからんが、じゃあ先に入らせてもらいますから」
「そうそう、入浴剤も入れてやるよ」
「なかなか良い香りの入浴剤だ。んー、なんかこう味覚を刺激する香りというか、、、鰹節の香りだ。えっ、削り粉?最近は入浴剤も変わってるなぁ、おい」
「あと、こいつもだ」
「柚子ね、柚子、、、最近は柚子湯に使う柚子は皮を細く切って入れるのか?薬味みたいだ。ああ、だいぶ温まってきたね。汗が出てくる」
「おっとタオルをやろう」
「ありがとう。真っ黒で、ずいぶんとパリパリで硬いな。これは、、、昆布?」
「ちょっと糊がきいて硬いだけだって。しばらく湯につけてれば柔らかくなる」
「そうよ、利尻産の高級タオルだって、、、痛っ」
「おう、あと石鹸もやるよ」
「白くて四角いが、ずいぶんと柔らかい石鹸が、、、どう見ても豆腐だな、これは。おう、いい加減にしろ、手前ら!風呂焚くから入らねえかと言われて来てみれば、水炊きにでもするつもりか!」
「いや、なに水を焚けば風呂になる」
※こいつは改訂版です。鳥のいるGRの会議室に元があります。