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ダラダラだらけの鳥野郎の呟き
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GRにおいて三題噺のお題を募集したところ、「夫婦喧嘩」「嫁の財布」「だんご」の三つをいただいきまして、こうなると自然と夫婦の噺なったのですが、まあ、夫婦ってのは当事者しか分からないことも多く、なんであんな美女とあいつがってことも間々ありますし、とくに夫婦喧嘩なんてものは、犬も食わぬと言うくらいで傍から見ると実にバカバカしいもんです。こないだも、

 

「好きだよ」

「私のほうがもっと好き」

「何言ってんだい。僕のほうが好きに決まってるじゃないか」

「私だって言ってるじゃないの!」

「何を!」

 

てな具合に喧嘩が始ま・・・らないですね。。。


「おお、ナベさんじゃないか。なんか良いことでもあったのかい?妙に足取りが軽いじゃねえか」

「ああ、これは、これは、旦那。いや、ちょっと財布を拾ったんで、うまいものでも食いにいこうかと」

「ちょっと待ちなさい。財布を拾っただって?」

「へえ」

「いいかい、財布を拾って自分の物にするってのは、泥棒と同じだよ。すぐに警察に届けなさい」

「届けなきゃダメですかね。拾ったといっても、家の中に落ちてたんですけどね」

「そうは言っても、お前さんのじゃないんだろ?」

「そりゃ、自分のなら、拾って喜んだりしねえよ、なんてったって俺のは『ふ』だからね」

「なんだい『ふ』って」

「財が入ってないんで、ただの布っ!」

「くだらないねえ。まあいい、お前のじゃなければ誰かの忘れ物だろうから、警察まで行かなくても、その人に届けてやりなさい」

「忘れ物じゃないと思うんですがねえ」

「じゃあ、何か?誰かがお前さんの家に入ってきて財布落として出てったってのかい?」

「泥棒が入ったんですかね」

「泥棒が入るような家かい。まあ、もしお前の家に入るような泥棒なら、落としかねないがね。今日、家に来た人はいないのかい?」

「はあ、そういえばカー公がきました」

「家に上がってったのかい?」

「屋根に上がって、ガアガア鳴いてました」

「鳥のことじゃねえか。鳥が財布落とすか!」

「糞なら落としていきました」

「汚ねえな。ほかには来なかったのかい?」

「ほかには、、、来た、来た!犬が物欲しそうな顔してきやがったから、ぞうり投げてやった」

「おまえの家には動物以外は来ないのかい」

「はあ、そうですねえ。借金とりもトリの仲間ですかねえ・・・」

「おまえと話してても埒が明かない。ちょっと、財布を貸しなさい」

「ど、泥棒!」

「そんなこと大声で言うんじゃない。みんなが見るじゃないか、ったく。ふむ、女物の財布だな。なにか身分が書いてあるものもあるだろう。えーと、、、あった、あった。何々、『ピスタッシェ』・・・なんだい、お前の奥さんの財布じゃないか」

「へえ、ワイフの財布です」

「つまんないこと言ってんじゃないよ。拾ったってのはこれかい?嫁の財布なら嫁のだって、最初に言わないかい」

「誰のかまでは聞かれなかった」

「まあ、嫁の財布というなら夫のお前が使うってのを、赤の他人のわしがどうこう言う義理はないかもしれんが、ひとこと言わせてもらうとだな、夫婦ってのは縁合ってひとつ屋根の下に住んでいるかも知れないが、もとは他人だ。互いに互いのことを思いやってだな、親しき仲にも礼儀ありといって・・・おや、ナベ、どこに行った」

 

・・・

「ひとことと断わってから話が長えんだから仕方ねえ。ああいうのは、延々とぶってから甚だ簡単ではとか言って話をまとめる手合いだね。・・・へへっ、何食おうかね。・・・おっ、こんなとこにうなぎ屋ができてるじゃねえか。・・・お、ごめんよ。やってるかい」

「うわっ、きちゃったよ。・・・へえ、やってます、いちお」

「いちお、ってのは何だい。今まで気づかなかったが、いつからやってんだ」

「今日が初めてでして」

「へえ、そうかい。じゃあ、うな重を一つ頼まあ」

「うな重ですか?はあ、どのようにしましょ」

「どのようにって、お重に飯盛って蒲焼をドンと乗っけてくれればいいんだよ」

「いえ、その蒲焼ってのはどのように」

「そりゃ、うなぎの頭にトンと釘刺して、身をシャーって裂いて開いて、チャッチャと串入れて白焼きに、で、タレにトプンとつけて、焼いて、つけて、焼いてと、こんな具合じゃなかったか」

「はあ、良くご存知で。ではさっそくそのように」

「おいおい、でえじょうぶかねえ」

 

「・・・困ったなあ。道具もそろい、具材も届いたんで店を開けたが、肝心の頼んでた職人が来ねえ。職人が来ねえうちにあの野郎がきやがったよ。店開けるんじゃなかったね、こりゃ。・・・まだ、いんのかね。・・・いやがるよ。こっちみてるじゃねえか。目が合っちゃた。思わず頭さげちまった。・・・はあ、仕方ねえ。えい、ままよ」

 

と言って、ウナギが泳ぐたらいの中に手を入れて、掴んで、持ち上げようとしたところ、ニュルっと逃げたんで、あわてて手を出すと、またニュル、そこで、また手を出すとニュル、手を出すとニュル。

「あ、あ、あっ」

右手を出す、左手を出す、追いかけて足も出る。とやってますと、板場を出まして、店のほうへ・・・

 

「あ、あ、あっ、お客さん、お客さーん」(がぽっ)

呼ばれて振り向いたナベの口に、ウナギがすっぽりと収まりまして、

「んお、んん、ん、ぐぉ・・・げほげほっ、何しやがんだ、コノヤロー」

「はあ、うちのは生きがいいんで、生で味わっていただこうと・・・」

「ウナギの踊り食いか、冗談じゃねえ。帰るぞ」

「では、お、お代を」

「お代だと!うな重は来てねえじゃねえか」

「う、ウナギを口に入れました」

「あきれた野郎だ。ほら、手だしな」

「お客さん、これはティッシュですが」

「蒲焼になる前のウナギだ、こちらも札になる前の紙で十分だろ、じゃあな」

 

・・・

「ぺっぺっ、ひどい目に合った。まだ口の中がぬるぬるするようだ。口直しに酒でも一杯引っ掛けるかね。肴はあぶったイカでいい~、へへっ」(ドン)

「おっ、気をつけろい!・・・痛えな、ぶつかってきやがって。んと、気をつけろって・・・ん・・・あれ・・・財布がねえな。あ、ス、スリだぁー。ちくしょー、くそっ。やられた・・・、はあ、仕方ねえ、金がねえんだ。・・・帰るか・・・結局、何も食えなかった・・・」

 

とぼとぼと歩いて帰って長屋の戸を開けまして、

「たでーまー」

「おかえりなさい、あなた。待ってましたのよ。早く戸を閉めてこちらにおいでなさって」(ニコニコ

「おっ、笑顔だよ。ああいう笑顔の時にはろくなことがねえ・・・家を間違えました。すいません」

「何を言ってらっしゃるのかしら?いいから早く来てここにお座り!」

「い、いや、まだちょっと用事がありまして」

「何か言いました」

「はい!すぐに参ります」

「あなた、箪笥の中に入れてあった私の財布を知らないかしら?」

「いえ、存知あげません」

「そう、じゃあ、あなたのその袂にあるものは何?」

「ははは、引っかからねえぞ。財布はすられて持ってねえ、いや、しまった謀られた」

「あなた、今なんとおっしゃいました。勝手に持ち出しただけなら、半殺しくらいで済まそうと思ってたのに、すられて無くしたですって!」

「い、いや、ちょっと野郎がぶつかってったあと、気が付けば財布を持ってなかっただけで、必ずしもすられたとは・・・」

「なくせば同じです!」

「ま、まて、その手に持った瓶を置きなさい。はなせば分かる」

「ええ、離しますとも、あなたに向かって」

「その離すじゃ、うわっ、あぶね。・・痛っ!」(ゴチンッ

 

嫁の手からは、牛乳瓶を皮切りに、酒瓶、土瓶、はげちゃびん、皿に茶碗に、鍋、やかん、次々と飛んで、雨あられとナベに降り注ぎまして

「ぎゃー、・・・いてぇ・・・ほげぇー・・・」

 

「おい、また始まったよ。ほんとあの家は、夫婦喧嘩が絶えねえな」

「喧嘩ってのは、互いにやりあうもんだが、あそこは旦那が一方的にやられてるだけだがね」

「まあ、あれがあの夫婦のコミュニケーションってやつかね。おっ、鍋がナベの頭に当たって火花が飛んでるね。きれいだよ、おい。たーまやー」

「おい、ナベの家はあそこだな」

「え、ああ、そうですが、今は紛争中で入国するのは危険ですぜ、旦那。」

「なに、その紛争を静めにきたところよ」

「お、お、行っちまったよ」

 

「ごめんください。ナベの家はここかい?・・・おお、ナベ、しばらく会わない間にずいぶんと変わり果てた姿になったな」

「ぁぁ・・・これは旦那、すまねえがいま取り込み中で・・・」

「これは旦那、ちょっと聞いてくださいよ。うちの宿六が私の財布を・・・」

「皆まで言わなくていい。これが問題でもめてるのだろ?」

「あ、その財布は、旦那がスリだったのか」

「失礼な!お前がわしに預けたままどこかに消えたんで、届けに来てやったというのに」

「あーあー、そういえば返してもらわなかった」

「まあ、これに懲りて嫁の財布を持ち出したりしないことだな」

「へえ、これからは他人の財布にします」

 

えっ?だんごが出てない?いえ、鍋がぶつかった拍子に、ナベの頭からだんごがプクーっと出てまいりました。

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